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2021/05/31

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西宮すなご医療福祉センター身体的虐待行為に関する検証第三者委員会の提言

西宮すなご医療福祉センター身体的虐待行為に関する検証第三者委員会の提言

西宮すなご医療福祉センターにおいて2020年7月に発覚した身体的虐待行為に関して、社会福祉法人甲山福祉センター虐待事案検証第三者委員会を立ち上げ2020年9月から2021年3月まで6回にわたって委員会が開催されました。
社会福祉法人甲山福祉センター虐待事案検証第三者委員
高橋敬委員(神戸合同法律事務所弁護士)
北野誠一委員(西宮市社会福祉協議会共生のまちづくり研究・研修所長)
藤井一亮委員(元甲南大学特任教授、現関西学院大学非常勤講師)
小山京子委員(兵庫県重症心身障害児者を守る会会長)
本事案を検証した結果、以下の通り提言をいただいたのでここに掲載いたします。

1 職員の採用
 本件では、虐待行為を行ったW生活支援員は、福祉サービスを担う適正を欠く人柄であるものと考えられるので、職員の採用手続きが検討され、改善が図られる必要があると判断した。
 職員の採用選考手続きの際、職員の適性を観察評価できる検査等を手続きに入れること、また甲山福祉センターの改善計画にも提示されているが、応募職と同職の面接者を用意すること、採用直後の観察評価の強化が必要がある。
2 職員の教育・研修・訓練、サポート体制等
 新人教育は、指導期間、指導内容、評価を明確にして問題の把握をすることを実行することが求められる。
 職員が、相互に能力を向上できる職場環境を用意すること
 研修は専門能力の向上と職業倫理を向上させるものにすることーすなわち障害者に寄り添う心、粘り強さ辛抱強さ、きめ細やかな愛情を養うように努めるものであること
 訓練は、作業と職業倫理を職員の血肉とするものにすること
 躓き落ち込む職員をサポートし立ち直るきっかけをつくる職場での手がかりを作ること
3 相談室の設置
 利用者・家族、職員がたやすく専門家に相談が出来る窓口の設置をする必要がある。甲山福祉センターには苦情の窓口が設けられているがより気楽に相談に赴ける専門家を配置した相談室の設置が望まれる。
4 理念の徹底と内在化
 本件の発生した職場は、「倫理委員会」(注1)の存在にもかかわらずW生活支援員の業務手順を守らない業務遂行状況を知っていた同僚などがそれを問題視し改善のために声をあげることがなかった管理者も同人の業務について問題点を指摘することがなかったことが指摘されている。そのような職場の風潮は、西宮すなご医療福祉センターは職員において利用者が生活主体者であり人として尊重され暮らしを追求する営みをともに進んでいくものだという自覚が薄れていて仕事をこなすことに偏していたことを裏付けるものである。利用者の生活を尊重する気持ちを胸に刻んで業務を行う理念を自分のものにする試みを常に追求してゆく必要がある。それは様々な機会に理念の確認を行い続ける営みである。
 利用者・家族の役割が理念の深化・徹底に果たす役割は大きいと考えるので、その意向が、現場で発揮出来る手だてを「倫理委員会」(注1)の審理の充実化を含め、追求する必要がある。
5 職員の勤務環境
 本件の発生した職場では、利用者・家族と職員、職員と管理者の間で確かな意思疎通が行われておらず、誰かがやってくれるだろうと他人任せなれ合いの雰囲気に覆われていたことが見られる。現れている問題を漫然放置するのではなくそれを見逃さない利用者・家族と職員、職員と管理者の間で自由闊達なコミュニケーションが行われる職場環境を保障する具体的な手だてを講じる対応が求められる。 
6 職場管理体制
 管理者の職務の範囲の明確化と業務指針の・基準の策定・改善、問題や契約の説明会の実施の義務かが必要である。とりわけ職員のアンケートの中で、何が虐待か分からない職員や管理職がいるという内容、実際業務の際行っている行動が外部からみると虐待と疑われるものがあること、2019年1月の看護師による不適切な行為の場合、利用者の覚醒を促すための有形力の行使は許されるのではないかという誤った見方が流布していた結果であったことからすると、業務指針や基準の合理化とその上で職場での明確化と徹底が喫緊の課題である。
7 内部の審査体制
 西宮すなご医療福祉センターには、安全管理対策委員会、倫理委員会(注1)、虐待防止委員会(注2)があり後者2つには、外部委員も委嘱している。
 安全管理委員会のような施設全体の安全管理問題と検討する委員会が、虐待が見逃される職場環境、虐待を防止出来ない管理体制を正すことができかったことを踏まえ委員会の人員・構成、議論内容、運営方法の見直し検討を求める。
8 外部からの関与
 以上の検討を踏まえ、虐待防止のための手だての策定と活動について外部からの関与により活動が多面的に検討され成果を上げ、内容が深化する契機になるよう提案する。
 現在甲山福祉センターの外部の委員からなる苦情解決委員会では、西宮すなご医療福祉センターほかの施設の利用者・家族、利害関係人からの苦情の解決について検討がなされている。
 また福祉支援員による支援計画の審査が行われている。
 内部の審査体制で挙げられた倫理委員会、虐待防止委員会には外部委員も委嘱されているので、外部の委員が委員会の活性化・実効性を向上させるよう運営を見直す必要があれば検討をする。
 外部からに関与について、たとえば、苦情解決委員会(あるいは倫理委員会(注1)、虐待防止委員会(注2))の審議事項を苦情やこれまでの審議事項に限らず、事故報告を素材に業務の状況を検討する、安全管理委員会と共同で事故が発生し続ける職場、職員、管理体制について検討し、場合によっては現場の査察等もおこない、虐待防止に努めることを検討されても良い。
 外部からの関与は、苦情解決委員会(あるいは倫理委員会(注1)、虐待防止委員会(注2))にこだわるものではなく外部から内部の活動の活性化や充実に寄与する手だてが必要である事から、外部からの関与の形式方法は、甲山福祉センターに委ねるところであるが、不可欠であると提案をするものである。
 福祉支援員による支援計画の審査も本件で露わになった西宮すなご医療福祉センターの問題点も計画の審査に及ぶようなものになるよう工夫をすることが求められる。
 行政による監査については、行政は地域の標準的な状況を一定把握している立場なので、その立場から意見を提示するよう求めることも可能なので、業務改善に資する意見を積極的に受け止め利用できるよう努めるべきである。
 最後に本委員会で議論された各委員からの具体的な提案を検討され二度とこのような痛ましい虐待事件を起こさないために最善の努力を尽くされんことを求めるものである。

(注1)
倫理委員会
・正式名称「倫理委員会」
・発足時期平成22年から
・活動目的 西宮すなご医療福祉センターで行う医療、療育及び研究において、西宮すなご医療福祉センター倫理要領及び臨床倫理指針に添った倫理的配慮を図ることを目的とする。
・開催頻度 年1回程度
・委員の数 7名
・外部委員 2名 医師(医療型障害児入所施設施設長)・元養護学校校長

(注2)
虐待防止委員会
・正式名称「虐待防止委員会」
 「身体拘束委員会」と「虐待防止員会」を同時に同じ委員構成で行っている。
発足時期 平成24年4月1日以前より上記の委員会を同時に開催するようになっている。それ以前は、虐待防止委員だけで行われていたものと考えられる。
・活動目的 利用者の人権擁護と虐待防止
      職員への虐待防止教育やストレスマネジメント行い、虐待が起こりにくい職場環境を作る
・開催頻度 月1回検討が必要な場合は随時開催
・委員の数 10名
・外部委員 2名 元利用者の保護者・元養護学校校長

なお、委員会の検証報告公開版並びに各委員の提言は甲山福祉センターの本部にて7月3Ⅰ日まで閲覧のみ可能(複写、写真撮影は不可)です。
閲覧を希望される方は、事前に電話にて予約していただきますようお願いします。
ただし現在新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が解除されるまでの間は、外部者の館内への立入を制限させていただいておりますのでご了承をお願いします。

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